ブナの樹齢について
谷川連峰には山麓に広範囲にブナ林が分布していて、未だ人の手が入らないブナの天然林が見られ、樹齢300年を越えるブナの大木も存在します。その谷川岳東面域のブナ林に、JR東日本の送電線が群馬・新潟を結び創設されており、この秋にその線下にある高木が伐採されていました。樹齢を知るのにチャンスとばかり、年輪・胸高周囲・根元周囲・樹高(樹冠の枝先については計測不能)などを計測してみました。
結果は次のとおりですが、事例が4例と少ない点、2例は隣合わせに自生していた環境条件などから、年輪がこの地域の平均を捉えているか疑問です。あくまでも参考にご覧ください。
(1)樹齢
a.場所:谷川岳東面 マチガ沢出合より湯檜曽川右岸を上流方向に約50m進んだ標高750
mのブナ林。
b.傾斜角度:4例ともほぼ同じ42度
c.計測値
整理番号 | 根元高30cm年輪 | 根元周囲 | 胸高周囲 | 胸高直径 | 樹高 |
---|---|---|---|---|---|
No.1 | 約134年 | 2.92m | 2.12m | 67.5cm | 約23m |
No.2 | 約110年 | 2.17m | 1.96m | 62.4cm | 約19m |
No.3 | 約 97 年 | 1.32m | 1.06m | 33.8cm | 約16m №2に隣接 |
No.4 | 約 90 年 | 0.91m | 0.82m | 26.1cm | 約14m |
(2)特異事項
a.樹幹の形状:傾斜地であるがゆえ傾斜方向にかかる雪圧(移動雪圧)により、根元近くの幹断面がハート型を呈しているのが2本、やや扁平を呈しているのが2本ありました。根曲がりをある程度矯正する支持根は確認できませんでした。
b.年輪から見た成長のピーク:60年から100年の間の年輪幅が広く,成長が旺盛なのが分かります。
参考文献によるデータ
胸高直径50cmで樹齢150年 同1mで樹齢300年→アマチュア森林学のすすめ(西口親雄著)
2013.11.28 自然環境部会 阿部利夫