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谷川岳について

湯檜曽川沿いで見られる雪カワゲラ類について

群馬野外生物学会報(23巻1号,2015年9月)に発表された論文の中から、雪カワゲラ類についての研究の一部を紹介します。

一般に雪渓上に見られる無翅の黒いカワゲラをセッケイカワゲラということが多いが、この報告では無翅・有翅を問わず、標高の高低に関わらず、雪上で見られるカワゲラ目成虫の全てを雪カワゲラとしてあつかっている。生息調査については2013年12月~2014年5月までの積雪期に確認されたもので4科12種おり、個体数が多かったのはユキクロカワゲラ、ツヤハダカカワゲラ、ハダカカワゲラ、オカモトクロカワゲラの4種で、季節的消長の個対数は12月の積雪後に最初に出現するのはユキクロカワゲラで1月までがピークで、その後急減している。2月にはいるとツヤハダカカワゲラが優占し、その後次第に減じた。ユキシタカワゲラ属の一種は3月中旬にピークがあり、ハダカカワゲラは一時的なピークは見られず、2~3月に数多く見られたとしている。

出現種リストは下記のとおりだが、2011年より土屋清喜氏と共に県内各所を調査している宮原義夫氏により、2015年1月25日に一ノ倉沢雪渓上で国内未記載の無翅のユキクロカワゲラの一種が発見されている(仮称Ec3)。無翅のユキクロカワゲラ、ハダカカワゲラと共に出現していたという。今後のより詳細な調査が待たれるところである。

谷川岳エコツーリズム推進協議会・群馬野外生物学会員 阿部

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クロカワゲラ科 ユキクロカワゲラ、ツヤハダカカワゲラ、チクマハダカカワゲラ、ハダカカワゲラ、オカモトクロカワゲラ、ミジカオクロカワゲラ属の一種、クロカワゲラ属
ホソカワゲラ科 ハルホソカワガラ属の一種、カギホソカワガラ属の一種
シタカワガラ科 ユキシタカワガラ属の一種
オナシカワガラ科 ユビオナシカワガラ属の一種、オナシカワガラ属の一種

【引用文献】
宮原義夫・土屋清喜(2015) 谷川岳付近の湯檜曽川沿いで見られる雪カワゲラ類とその季節的消長
Field Biologist,23:1-7.群馬野外生物学会

宮原義夫(2015) 湯檜曽川流域におけるユキクロカワゲラ属の未記載種の発見場所
Field Biologist,23:14-16.群馬野外生物学会

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